浅野潜さんと映画を楽しむ 「晩春」

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シネ・ヌーヴォ
1949年と言うから相当古い、小津安二郎監督の紀子三部作の一番目で他のは「麦秋」と有名な「東京物語」

紀子3部作というのは原節子の役名が違う映画なのに3本とも紀子、原節子と小津が組んだ初めての映画でもある、助監督をしていた吉田喜重によると小津作品ではこれが一番とか、小津独特の固定カメラのローアングルとシンプルな台詞、浅野さんの話によると隅から隅まですべて役者の演技指導を監督が指示したそうである

浅野潜さんと映画を楽しむ 「晩春」_b0057679_8452279.jpg小説家であり大学教授のやもめの父親と、その父の世話を焼く娘、娘を嫁がすために後妻話を作り上げ嫁に出すと言う至ってシンプルなホームドラマである
映画の製作年数から計算すると56歳の父親役の笠智衆が45歳の若さで、ビックリするぐらいエキゾチックで美人の娘の原節子が29歳と言うことになる

どうも昔も今も松竹映画が苦手である、純粋に映像という意味では凄いと思うのだが、私はいつも映画に何らかのメッセージを求めている、つまり私の廻りには存在しない美男美女のホームドラマや恋愛話は見てると寒くなるのである

少し前になるが爆発的にヒットした「冬ソナ」もストーリーすら知らないぐらいで、かろうじてTVのバラエティで見るチェ・ジュを見て美人だなあと思ったぐらい

私の映画道は東映の錦之介・橋蔵・千代之介のチャンバラに始まって、東宝のゴジラ・モスラの特撮から黒沢映画へ、間に日活の青春物と東宝の若大将や駅前シリーズに新東宝の前時代的な日本軍賛美の戦争物がは入り、大人になるとそのまんまアートシアター系からニューシネマにどっぷりはまってしまったのでロマンス映画の時代がない

話は変わるが学校から見に行った映画の記憶は「のんちゃん雲に載る」「ピカソ天才の秘密」「ニュールンベルグ裁判」などがある、他にももっと見ているはずなのだが出てこない、今でも映画鑑賞ってあるのかしら

小津ワールドは確かに映画としては素晴らしいのかもしれないが、ストーリーがどうもなのだが映像は面白く小津の長めのカットカットが思い出される、まるでスチール写真をつなぎ合わせるようにストーリーを作り上げ、固定されたフレームの中で俳優さんが動き台詞言う

私は何処にいても映像の世界でも自分の位置を無意識に認識して、初めての町を歩いても迷子には決してならない、ところが小津のカメラワークはものの見事に裏切ってくれた、つまりカメラがパーンしないのとセットで撮す方向が限られていて玄関を入る姿や階段を上る姿が映らないので

大半が二人の家の中のお芝居なのに家の間取りが最後まで描けなかった、位置関係が判らないとどうも落ち着かないのだ、画面を横切っても何処へ行くのか判らないのだが、彼はこれを意識的にしていたのか無意識でやっていたのか非常に興味があるのだが今は聞くわけにもいきません
by PUSH-PULL | 2008-10-18 09:02 | カルチャー | Trackback | Comments(0)

珍しく我が家のマイマイが甘えに来た、正式名は「シャー・アズナブール・マイマイ」と申します


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