少し前の話だがご近所のおっちゃんの葬式に行って来た、ちょっと落ちついきたので彼の思い出を書くことにした
私の最初の記憶の彼はもう大人だったのでかなり歳が離れている、なかなかカッコの良いあんちゃんで面倒見も良くて声を掛けられた、細身で背が高くハンサム・・・勿論もてるわけで、今から考えると遊び人に属していたのかも、コーヒーの蘊蓄を語ったり私の知らぬ世界の人だった
若くて結婚し奥さんは近所でも評判の美人で人もうらやむご夫婦に見えていた、一人息子が小学校3年ぐらいだったろうか、突然私の家に飛び込んで来た、「ボクのお母ちゃんおかしいねん、声かけても返事せえへんねん」としょげかえった声で私を呼んだ、私のお向かいの叔父の家に呼びに来たらしいが留守だったためらしい
あわてて家を飛び出し、一筋違いの彼の家の扉を開けるとすごくガス臭い、大きく息を吸い込んでから2階へ駆け上がりガスの元栓をまず閉めてから、窓を全部開け放ち上着で風を起こしたのである
大きく窓の外の空気を吸ってから、2階へ上がったときにチラッと見えた畳の方を眺めたら布団が敷かれ彼の母親が静かに眠っていた、枕元に手紙らしきモノが置かれていたが触る気も起こらず、家にとって返し救急車を呼んだ記憶がある・・・
その後暫くしてから父親は再婚し街で出会うこともほとんどなくなったが、たまにあった時に話をすると彼も病院通いで私と同じ「C型肝炎」、私の方は2度目のインターフェロンで何とか肝炎の悪化は止まって事なきを得たが、彼の方はインターフェロンを投与する気もなく、おまけに酒も煙草も止める気がサラサラ無い
勿論体の調子が悪くなって時が大変だったらしい、一度肺炎で入院した頃から急速に様態が悪化、しかし医者の言うことを守らず無理矢理退院させられたりした、そうこうする内に車いす生活から寝たきりになってしまった、最初の病院は入院できず最後は近くの小さな病院で息を引き取った
私に「誰がインターフェロンなんか打つか、何で酒を止めなあかんねん!」と細い身体で息巻いていたのを思い出す、そう言えば私の一番親しかった友人G里も同じ事を言っていた、すでにタバコを辞めお酒も少しは控えていた私が彼の身体の悪化をとがめるといつも言うことは
「酒やタバコを辞めてまで長生きしたことないわい!」
私が「長生きしたいから煙草辞めたんとちゃう、痛いのが嫌なんや」と、
病気の話になるといつも喧嘩をしていたのだった・・・・・・・つづく