『雨月物語』を見てきました

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浅野潜さんと映画を楽しむ会
本当に久しぶりに朝寝坊をした、目覚ましをセットしていなかったこともあるが7時間以上寝たのも久しぶりである、天気予報は見事に外れ深夜は雨、星マークでも雨は降る

11月は浅野さん一押しの横溝健二監督の「雨月物語」、浅野さんの話によるとゴダールが溝口健二監督を絶賛、その後のヌーヴェルバーグと呼ばれる映画作家達はこぞって溝口映画を見たらしい

溝口健二と言えば、黒沢・小津・成瀬とならぶ日本映画の巨匠である、この雨月物語を筆頭に「西鶴一代女」「山椒大夫」など数々の賞を受賞している

映像美もさることながらストーリーが面白い、泉鏡花や久世十蘭と並ぶ日本の怪奇小説の代表でもある上田秋成の江戸後期の出版された9編のお話で、中国の白話の影響を受けているとか

映画はその9編のお話の中の「浅茅が宿(あさぢがやど)」と「蛇性の婬」をまとめたもの、浅茅が宿は一旗揚げるために京に行った男が、7年後に幽霊となった妻と再会する話で、蛇性の婬は蛇の化身の女につきまとわれた男が、道明寺の僧侶に助けて貰う話

映画は何の違和感もなく二つの話が絡み合い話を織りなす、田中絹代演じる妻の「宮木」もさることながら、京マチ子の死霊「若狭」が凄い

さらに撮影の宮川一夫のカメラが素晴らしい、ろうそくが消されていく照明も面白いが、琵琶湖を漕ぎ進む舟のシーンが幻想的で非常に印象的でありました

あら探しばっかりする私だが、古い映画には珍しく皆無に近かった、特に長回しの映像もそれなりの美しさがありシーンのカット割りも`53年の映画とは思えない程斬新で、ゴダールが絶賛したのも頷ける映画でございます

今時のDVDは、フイルムの痛みも少なく音もクリアーで技術進歩とは凄いものがありますね、映画主題である死霊若狭が、何故に町で焼き物を売る妻子ある陶工源十郎に取り憑いたのであろうか?これが独り身の男なら何てことはなく、妻の亡霊も出てこないわけで・・・

いかなる男も、こうした状況に置かれれば信条も貞操も一瞬にして失うとと言うお話で、逆の立場から見れば、女というものは死してなお子孫を残し己の恨みを晴らそうとする、下に恐ろしき執念でございます

先日見た奈良の映画のシンポジウムで、「テロ」というものの存在について、足立正生監督が「自尊心が傷つけられたときにテロが行われる」と、一部容認する発言を言っていたが、私には若狭のような怨念もテロ行為に走らせる程の強い自尊心も皆無に近いことに気づいた次第
※写真はネットより拝借
by PUSH-PULL | 2010-11-20 08:51 | カルチャー | Trackback | Comments(0)

珍しく我が家のマイマイが甘えに来た、正式名は「シャー・アズナブール・マイマイ」と申します


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