「淺野潜さんと映画を楽しむ会」5月
今月のシネヌーヴォの映画は戦前の小津安二郎の「戸田家の兄妹」、製作の1941年(昭和16年)を考えたらスピルバーグの映画「1941」を思い出した、そう真珠湾攻撃が行われた年なのである
太平洋戦争が始まった時なのだが映画はそんな時代背景など何処吹く風、世情なんてクソ食らえでブルジョア家族のゴタゴタを描く、戦後作られたヒット作「東京物語」に通じるテーマで、彼の映画には家族の葛藤が常に描かれている
粗っぽく説明すると、お金持ちの戸田家の主が奥さんの還暦祝いの集まりの時に様態が悪くなり死ぬ、ところが借金が残され家や骨董を売る羽目に、残された母親を兄妹が押し付け合う、1回忌の集まりに天津から戻ってきた次男(佐分利信)が軽薄な兄妹をどやしつけ追っ払うと言うお話し
音声が悪く前半が聞き取りにくかったのが残念なのだが、それはさておきどうもこのブルジョワ話というのは鼻につくというか、何が起ころうがそれがどうしたと思ってしまうのであります、家が無くなっても召使いが身の回りの世話をする家族、世間体を気にするあまり女が働くなんぞもってのほか・・・親身になって考えるというのは無理みたい
小津安二郎の映画は何時見ても、家の間取りが頭に描けない、セットの部屋は普通階段が出てこないのだが珍しく階段のシーンがありました
淺野さんの話によると小津安二郎監督が京都の撮影所に来たとき、契約書にお昼にビール1本を飲むことと夕方5時には撮影を終えると書かせたらしい、仕事よりお酒が大好きだったとか、中卒で映画会社に入り日本を代表する巨匠まで上り詰めたのは凄いことで、戦後は大卒でないと監督慣れなかったらしい
ちょい役で出てきた笠智衆が若いのでビックリ、三宅邦子と高峰三枝子と桑野通子(左のプロマイド)が現代風の顔で非常に美人なのであります、時代のスターが一杯出ていたので興行的に成功、後で調べて家族の関係が判りましたが、映画を見ているときは兄妹の順番と娘と嫁と・・・よく分かりませんでした
気になったのはセットの建具の安普請、襖が今まで見たことのない絵柄で派手、調度品が微妙に金持ちらしくない、おかずのない弁当、引きの絵が出てこないので全体が見えない、最後に佐分利信が見合いをするのが照れくさく抜け出し、砂浜を走るラストシーンはあまりにも滑稽で、ホンマに小津安二郎映画かと疑ったぐらいです(笑)
来月は久しぶりの洋画で、私の大好きなジャン・リュック・ゴダールなのであります、でもすっかり忘れておりますのでもう一度楽しめそう
今はDVDがあったり、GYAOの配信でネットで見たり・・・
でも、銀幕で見た映画ほどの感動はないですねえ・・・
う~ん、久しぶりに映画館に行きたくなってきました。^^
昔見た映画でも内容をすっかり忘れていて新鮮でヨロシイ(笑)、映画好きばっかり集まっての映画会は、二次会の飲み会での皆さんの私の知らない蘊蓄を聴くのが非常に楽しみなのであります