「お嬢さん乾杯」を見てきました、昭和23年(1949)だからとっても古い、1949年を調べたらまだ米軍のGHQが日本を占領していた時代で、政治的事件が立て続けにあった、「下山事件」「三鷹事件」「松川事件」どれも国鉄に絡む事件でいまだに謎な部分が多く、時代的に共産党弾圧の色が濃い
しかし映画の方は垢抜けしていて暗い世情など何処吹く風、美人原節子を主役にハイカラな映画に仕上がっている、今と違ってなんと銀座がガラガラだったこと、高いビルも殆どないのだが間違ってもバラックや貧乏人は登場しない、原節子の相手役佐野周二はおっさんのイメージしかなかったのだがなんと若いこと、おまけに弟分に天下の二枚目佐田啓二が出ておりました
没落華族の令嬢に結婚を申し込むに当たっての佐野周二のセリフが「俺は金儲けが上手い、金さえあれば何でも出来る」なるビックリ発言、よく考えると現在のホリエモンの「金儲けして何が悪い!」と基本的に同じ、丁度時代は斜陽族から新興成金へ
ガキの頃から松竹映画は殆ど観ていない、つまり美男美女の恋愛話など面白くも何ともなんともなかったのだ、やはり映画と言えば東映のチャンバラか東宝の怪獣の方が断然面白かった、あの時代の松竹まさに美男と美人がなんと沢山存在していたことか、話は外れるがもらい物の今年の松竹卓上カレンダーは十二人のタレントの半分は知らないお姉ちゃんが着物を着て写っておりました
美男美女恋愛映画嫌いの刷り込みは今も残っていて、あの時代の原節子の存在は背も高く日本人離れしたはっきりした顔は夢物語、映画の中でもリアルな男優や脇役達から完全に遊離して天上界のお嬢様なのでありました
木下恵介は途中でテレビへ転向してしまったが、それまでに「カルメン故郷に帰る」「二十四の瞳」「喜びも悲しみも幾年月」「楢山節考」「衝動殺人・息子よ」など良い映画を沢山作っている、彼が「お嬢さんに乾杯」のような喜劇を作っていたことが驚きで、なんと原節子がつまずいて倒れると言うギャグまでやってくれているのであります、まさにドタバタ喜劇なのかもしれません
このあたりが淺野潜さんの批評として「木下恵介の作品の中にあって、これは切れがなくイマイチである」と語っていたのは、少々バタ臭い出来上がりの娯楽映画止まりだったことかもしれません、
映画の後の恒例のそば屋での飲み会での超映画好きのおっチャン達の発言は、淺野さんの意見と違って面白ければそれでよく、原節子が出ているだけで良いらしいのであります
調べて見たのだが、何本もあると思っていた木下恵介と原節子の組み合わせはこれ一本だけのようで、原節子と言えばやはり小津安二郎監督の名が浮かぶ
eiga.com 作品情報 『お嬢さん乾杯!』 ■解説:製作は「火の薔薇」「銀座新地図」の小出孝。「わが生涯のかがやける日」「嫉妬(1949)」の新藤兼人の脚本で「破戒(1948 木下恵介)」につぐ木下恵介が演出する。カメラも「破戒(1948 木下恵介)」の楠田浩之が当たる。出演者は「初夜ふたたび」の佐野周二、「幸福の限界」の原節子、「鐘の鳴る丘 隆太の巻」の佐田啓二、「緑なき島」でカムバックした森川まさみ、坂本武に俳優座の青山杉作、東山千栄子、村瀬幸子、永田靖らが出演する。 ■ス...... more
* 『巨人伝』(伊丹万作 監督、1938年)
* 『晩春』(小津安二郎 監督、1949年)
* 『麦秋』(小津安二郎 監督、1951年)
* 『東京物語』(小津安二郎 監督、1953年)
* 『東京暮色』(小津安二郎 監督、1957年)
* 『秋日和』(小津安二郎 監督、1960年)
* 『小早川家の秋』(小津安二郎 監督、1961年)
* 『女であること』(川島雄三 監督、1958年)
* 『めし』(成瀬巳喜男 監督、1951年)
* 『山の音』(成瀬巳喜男 監督、1954年)
* 『驟雨』(成瀬巳喜男 監督、1956年)
* 『娘・妻・母』(成瀬巳喜男 監督、1960年)
いつも思うのですが、映画は古いのに映像が修正されモノの見事に雨が消されていて見やすい、トーキーだけは難しいのかクリアーになってはいるのだがどちらかかと言うと平板で高音で聞き辛い時があります
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