この映画の秋吉久美子を含め、あの頃は加賀まりこ・関根恵子・桃井かおり・沖山秀子・・・青春映画と呼ばれたジャンルに次々と個性的で素晴らしい女優が現れた、清純派とは一線を画しているところはみんな大胆で若手主演女優にもかかわらずヌードも平気だったこと、スクリーンの彼女たちに世の若者たちはどきどきしたものである
「の・ようなもの」は森田芳光の劇場映画の第一作で、映画としては荒っぽいが新鮮で非常に面白いのである、1981年作と言うことは彼女は二十七歳、トルコ嬢の役なのだがスタイル抜群でセミヌードのシーンもあります
うだつの上がらぬ落語家(伊藤克信)とトルコ嬢と落研の女子高校生・・・なんてことのないストーリーなのだがなかなか良くできている、森田監督はその後の「家族ゲーム(松田優作)」でもそうだったが食べるシーンにこだわりがあるのか、いつも一風変わった食事シーンを見せてくれておもしろい
他にも「ときめきに死す(沢田研二)」「キッチン(川原亜矢子)」「模範囚(中居正広)」などで監督として地位を築いてきたのだが、黒沢映画のリメイク「椿三十郎(織田裕二)」でおおコケしてしまったとか
「の・ようなもの」は30年ほど前の映画なのだが脇役に見た顔が一杯、小堺一機とラビット関根のペア、準主役に尾藤イサオ、チラッと漫画家の永井豪は後で知りました、そして秋吉久美子演じるトルコ嬢エリザベスの友達役に若き室井滋、でもセリフは二言三言で後ろ姿だけでもすぐ解りました
後から教えられたのは落研の女子高校生役にエドはるみがエキストラで出ていたことですが勿論クレジットには出てきません
淺野潜さんは仕事柄年間400本以上映画を見ていて評論をしているのですが、映画の後の飲み会で今年のベスト作品をお聞きしたら
邦画の1位が西川美和監督、笑福亭鶴瓶主演「ディア・ドクター」、西川美和はまだ若くて美人の監督さんで「ゆれる」で一躍注目をあびました
洋画の1位がクリント・イーストウッド監督主演「グラン・トリノ」、彼はずっとマイノリティー問題などアメリカの暗部を黙々と描き続けてきている数少ない素晴らしい監督・俳優かもしれません
残念ながら私自身どちらも見ていません、むかし月20本も見ていた時代が嘘みたいですな