京阪丸太町駅を降りてから丸太町通りを熊野神社前まで歩く途中で目に入った、土曜日だったからかどうかは判らないが1階のお店の扉は半開きだったがカーテンは閉じられたままだった
新しいアルミサッシの窓と古い木の扉とが結構うまく一体化している、この扉らしき真っ黒な看板は内側に閉じられることがないと思われるが、外側に鍵らしき金具が付いているのが不思議といえば不思議である
一見蔵の扉のように見えたがやはりこれは扉の体裁をしたお店の看板ではないだろうか、黒と言うより墨一色のバックに墨の浮き文字とは粋である、私なら目立ち好きなのできっと真っ赤な文字にするやろなあ〜
今時なら立体文字は樹脂の成形で作るのだがこれは明らかに木の削りだしと思える、ひょっとしたら1枚の板からの削りだしかもしれない、一度仕事でこれとよく似た大きさの浮き文字の看板を作ったことがあるのだが非常に時間と根気のいる仕事だった
気に入ったのはこのツヤ消しの墨色が何度も重ね塗りしたと思えるような深みがあること、塗料はカシューだろうか?微妙な光沢がある
ツヤ消しの塗料に非常に興味がある、以前に金沢21世紀美術館で見た作品が忘れられない、一室の新たに設えた壁に大きな円筒形のくぼみを作り、その底の部分にブルーの絵の具が塗られているのだが、絵の具に光の反射がないので距離感がなく奥行きがまるで掴めないのである、こんな作品を見た時は衝撃であった
都会で住んでいると暗闇というものは存在せず24時間どこかに光が存在する、両眼をあけじっと眺めても距離が掴めないという空間に非常に憧れるのだ
余談だがこの秋に京阪の駅名が変わるらしい、丸太町→神宮丸太町、四条→祇園四条、五条→清水五条
新しい駅が売名行為で地名にあやかって付けるのなら判らぬもないが、昔からある駅名を変えるのはいささか腑に落ちない、平行する新しい地下鉄烏丸線の駅名と重複しているのが理由らしいが・・・祇園と清水はすぐにつながったが神宮という文字ではお江戸を連想してしまった、この神宮は平安神宮だったのだが私の頭の中では何故か今も丸太町駅と平安神宮がクロスしないでいる