伊藤若冲

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忘れ去られたていた画家
先日仕事で魚をモチーフに壁面のデザインをする仕事に遭遇した、墨絵の魚とかが候補に挙がっていたので記憶の中の絵を繰っていて調べたのが葛飾北斎の「北斎漫画」と若冲の「動植彩絵(どうしょくさいえ)」である

どちらも時代を超越した面白さとデザイン的な要素も含んだ絵である、北斎の方は誰もが知る浮世絵画家だが、肉筆の面白い絵を多く残している、方や伊藤若冲は何故か無名の存在で最近急に取り上げられるようになった

若冲をお好きな方には申し訳ないが、私自身絵の下手さを棚に上げ現代美術に走ったお陰で日本画を積極的に見ることもなく彼の絵を殆ど知らないのである、先日開催されていた京都相国寺の「若冲展」は大盛況だったようで行列まで出たらしい、行きそびれてしまったのが悔やまれる

伊藤若冲_b0057679_9161680.jpg若冲は江戸時代の京都画壇で円山応挙や池大雅や与謝蕪村らと共に活躍していたのに何故今まで表に出てこなかったのだろうと疑問に思っていたのだが、先日の毎日新聞のコラムで田原由紀雄氏が詳しく書かれていてやっと納得した

無断で要約すると、明治に西洋美術が日本に激流が如く入ってきた時、誰もが学校の美術史で知ったと思うがフェノロサと岡倉天心の書物が後の美術に大きな影響をもたらした、フェノロサの「東洋美術史編」には応挙を「一大天才」の褒める一方、若冲は名前すらないのである

また岡倉天心の「日本帝国美術略史編」では若冲を奇怪と抹殺してしまっている、お陰でその後の美術史で若沖の絵が忘れ去れてしまった訳なのだ

日本という国は昔も今も余所様の批評批判を後生大事にする国で、政治なんぞは海外のご機嫌伺いばかりしている有様、映画でも美術でも海外で賞を取ったり評価されて初めて認められるという自主性のなさはどうしたもんだろね

北斎も若冲もモダンで画期的な絵を残している、奇怪であったり面白かったり精密画であったり風景であったり美人画であったり頼まれ物の仏画であったりと、二人とも江戸時代にあっては他の画家とは違ってほとばしるような才能を発揮している

見れば見るほど「上手い!」

補記:もう少しで「沖」と「冲」を間違える所でありました
Tracked from いま人気のコトバとは? at 2007-06-13 21:52
タイトル : 葛飾北斎
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Commented by 雉猫 at 2007-06-14 12:13 x
ご無沙汰しております。
本当にそうですね。
他人の批評。評判をそのまま鵜呑みにしてはいけないですね。
自分で何が正しくて何が間違っているかの基準をちゃんと考えて判断したいなと思います。
若沖の作品は私もTVで観るまで知らなかったです。
岡倉天心と喧嘩でもしたのでしょうかねえ?

Commented by PUSH-PULL at 2007-06-14 13:13
ホンマにご無沙汰です、お元気そうで何よりです
若冲のモダンさが明治の急激に変化よりも先にあったと考えられるのではないでしょうか
若冲と天心は半世紀以上の時代差があるので面識は勿論ない、しかしフェノロサにしても完全に埋もれた日本美術を発掘した功績は凄いのですが・・・
Commented by tedukuricamera at 2013-01-24 21:32
実はカメラ以外にも、浮世絵・日本画の世界に興味がありまして、北斎・広重・歌麿・写楽などの特集が、NHKやBSでも頻繁に放送されていて、必ず見るようにしています。
以前に、「動植菜絵」についてのドラマで、岸辺一徳が若冲役・山本学が相国寺の高僧の役で90分ものの放送がありましたね。
Commented by push-pull at 2013-01-25 08:48
tedukuricameraさん?古いブログの書き込みでびっくり、そう言えば今度の直木賞作品は長谷川等伯がテーマで、少々惹かれております
Commented by tedukuri改め予報官 Y at 2013-01-25 22:14 x
近々、BSプレミアムの再放送で「天才画家の肖像」で、土佐光興、歌川広重、歌川国芳の放送が予定されています。
残念ながら北斎はないようです。
Commented by push-pull at 2013-01-26 09:48
予報官さん 残念ながら我が家のテレビは未だにブラウン管、もちろんBSなんて分野とは無縁でおま
by PUSH-PULL | 2007-06-08 09:21 | アート・デザイン | Trackback(1) | Comments(6)

珍しく我が家のマイマイが甘えに来た、正式名は「シャー・アズナブール・マイマイ」と申します


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