卸売市場から戻って来ると急いで朝飯をかき込み、直ぐにお店のシャッターを開け先ほど仕入れてきたネタを平台に並べ始める、暫くすると三々五々ご近所の主婦達が集まり始め、市場の1日が始まる
味噌醤油屋・豆腐屋・鶏肉屋・肉屋・回転焼き・乾物・米穀物・八百屋・果物屋・魚屋・天麩羅屋・酒屋・服屋・花屋・パン屋・和菓子屋・駄菓子屋・日曜品
小さいながらも全て揃っている、お昼近くになるとお店も賑やかになり威勢いい声とおばちゃんのやり取りが聞こえる
「天気予報雨や言うとったけど、ちっともあたらへんで、こんなに暑なってしもて」
「奥さんそんなことよりこの鯖入ったばかりで美味しいで!しめ鯖にでも出来るぐらいや」
「でも鯖高いしそっちのアジにしとこかなあ」
「奥さんええとこに目を付けた、このアジタタキでも刺身でも何しても旨い、ちょっと小ぶりやから一杯250円でええで」
「そんなこと言わんと200円に負けるといてえな」
「しゃあないなあ、奥さんの器量に惚れて負けときまっさ」
「ありがとう、にいちゃん何処から見てもええ男や」
昼飯過ぎても大将はどこかに行ってしまったのか戻ってこない、のんびりと乾物屋の店番をするおばあちゃん、客が来ても隣のおばちゃんとおしゃべりをする日用品屋、競馬のことしか頭にない豆腐屋
あれ誰もいないはずのお店なのに奥の大きな冷蔵庫が「ぶーん」と音を立てている、そう言えばさっきまで人がいたような気配が・・・
市場を抜けたところの路地をゆっくりと猫が通りすぎていく