61年前の映画「硫黄島の砂」を見る

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「淺野潜さんと映画を楽しむ会」4月
些末なことで失礼だが、映画のタイトルの「硫黄島の砂」を「しま」と読むか「とう」と読むか、私の記憶では「とう」なので調べてみた

元々島民では「いおうとう」が通称だったらしいが、明治時代の海図では何故か「いおうじま」、米軍が海図を作成するに当たってそのまま「いおうじま」と表記、1968 年に統治が日本に返還されたとき「いおうとう」に国土地理院の地図では戻されたのだが、なぜか1982年の地図改訂時にまたもや「いおうじま」に、島民や子孫から「いおうとう」に統一して欲しいとの要望が以前からあり、やっとこさ2007年に海図担当の海上保安庁も「いおうとう」と表記した

と言うことで1949年に作られたこの映画は「いおうじまのすな」が正しいのだが思いっきり古い、今時500円でDVDが売られている世の中での映画館での鑑賞はいささか思うところがあるのだが、そこは淺野潜さん面白い映画解説があっての映画会であります

見ているときは実写の戦闘フィルムを巧みに取り込み迫力ある戦闘場面を作り上げ退屈しない、アメリカの戦争への取り組みが日本とまるで違っていて、何処までも映像が残されているのが凄い、しかし映画としては問題でアメリカの第2次世界大戦後の国威発揚の映画、ダンスパーティーでの出会いとか秀才型海兵隊新兵とジョン・ウェイン演ずる鬼軍曹ストライカーとの軋轢など伏線があるが、映画としてのストーリーは皆無に近い

第二次世界大戦への問いかけも、戦争や命などの問題など一切考えることもない、過酷な訓練の後、膨大な兵力と戦力で硫黄島を陥落して星条旗を立ててお終い、太平洋戦争で双方とも一番戦死者を多く出した硫黄島の悲惨さなどまるで出てこない

映画はガダルカナル島制圧の後、前半は訓練の後のタラワ島上陸の戦闘シーンで結構迫力があり一度ストーリーが途切れる、後半の休暇をはさんでの硫黄島上陸の方はさほど盛り上がらず、クライマックスで主役の鬼軍曹が何故か死んでしまう、なかなか変なストーリーなのであります

この映画が注目を浴びたのは、クリント・イーストウッドが硫黄島で旗を立て生還した兵士3人が、その後戦時公債用の資金集めなど宣伝に何度も利用されたことを知り、米軍側から描いた「父親たちの星条旗」と日本側からの「硫黄島からの手紙」を制作し世界で注目され評価を受けたからである、おまけに嵐の二宮君が出演しているとあって若い人たちにも広まったのです

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「硫黄島の砂」はあまりにも有名な摺鉢山に星条旗を立てる写真から始まっている、ジョー・ローゼンソールが撮影したこの写真は`45年にピューリッツアー賞を受賞、今でもアメリカ海兵隊のシンボルであり語り継がれ切手に銅像にもなっている、星条旗を立てた6人の内3人は無事生還しこの映画に出演までしているのであります

映画の中で何度も「鞍をのせろ」「鞍を下ろせ」というジョン・ウェイン軍曹のセリフがあるのだが、戦争映画でこの言葉は聞き慣れない、で調べてみた
海兵隊用語集に「Saddle up=鞍を載せろ」という言葉ちゃんとありました、意味はおわかりだと思うが行動開始であります、たぶん騎兵隊から来ているのだと思われますが、日本語で該当する言葉は無いのだが、強いて考えると「ふんどしを締めろ」ではなかろうか
となると「Saddle down」は「ふんどしを外せ」になってしまい、何とも締まりがない(笑)

※写真はネットより無断転載、上は映画はモノクロだがカラーのレトロブリキ看板でキンチョウと同じインテリア用と思われる
下はピューリッツアー賞を取った写真だが、`45年と言うから終戦の年でその頃から写真の賞があったのですね

今朝の散歩でのスナップ、一房だけ藤が咲いていた、咲くにはまだ1〜2週間ほど早いのだが、きっと嬉しがり花に違いない
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Commented by e-leitz-yasu at 2010-04-18 08:13
私は『イオウジマ』と思っていました。
また、有名な擂鉢山に星条旗を立てる写真は『やらせ』の
疑念を晴らせていないようです・・
Commented by PUSH-PULL at 2010-04-18 09:31
yasuさん
調べたら1枚目の写真はルイス・ロワリー軍曹が撮ったとか、2枚目の旗を揚げたときはローゼン・ソール
http://www11.plala.or.jp/Gang-Ho/history/ww2/iojima/iojima08.html
疑惑がどうか話は確かに面白いが、戦場の緊迫した状態でもカメラマンがポーズを撮らせているが凄い
by PUSH-PULL | 2010-04-17 08:54 | カルチャー | Trackback | Comments(2)

珍しく我が家のマイマイが甘えに来た、正式名は「シャー・アズナブール・マイマイ」と申します


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